絵とことば

黒瀬あうん。創作家。小説家。詩人。僕の生きた証を、ここに。

桃色の貝

「何故に会いたいときに会えないの。

今日会えなければ、

わたしは死んでしまうかもしれないのに。」

 

俺は泣いてしまうだろう

 

潮騒とともに

引き寄せられた薄い桃色の貝が

浜辺に顔を出す

 

ひんやり濡れた足許の

さらさらの砂の上から

両の手の平におさめて

「可愛いやつ。」

と俺は微笑む

 

世界は止まり

お前がいないことに

俺は泣いてしまうだろう

 

「可愛いやつ。」

 

お前は儚く小さな貝そのもの

 

永遠は時に

潮騒とともに

引き寄せられた薄い桃色の貝が

浜辺に顔を出す